その2:シナリオを書く前に

さて、ここまで来たということは、まず「好きになる」という第一段階をクリアしたということです。

おめでとうございます!!誇りましょう!!

好きになるってとってもとっても素敵なことですからね!!

 

ここからは少し頭を使うようになるので、余裕がある時に行ってください。

1日でなんとかしようとせず、長い年月をかけてゆっくりと行うイメージでやっていきましょう。


①好きなシナリオ作者を見つける

その1でTRPGをたくさん遊んでたくさんシナリオを読んできたと思います。

まずは好きなシナリオ作者を見つけましょう。

 

公式シナリオが好きなら公式シナリオの作者でもいいですし、同人シナリオなら同人シナリオの作者でもいいでしょう。

文体が好き、ゲーム性が好き、世界観が好き、シナリオに対する対応が誠実、公式だから細かいところがしっかりしている。

どんな理由でも構いませんし、好きな作者は1人じゃなくても構いません。

 

決まりましたか?

 

今からその好きなシナリオ作者があなたのシナリオの先生になります。

以下好きなシナリオ作者のことを便宜上「先生」と表記します。

 

学校でも先生から勉強を教えてもらいますよね?

シナリオ作者は今からあなたの先生になってくれるのです。

②先生のどこが好きなのか考える

先生が見つかったら、先生のどこが好きなのができるだけ具体的に考えてみます。

言葉にならなくても構いませんが、できるだけ言語化できるようにすると、シナリオを書く時に言語化するための訓練にもなります。

 

例えば、文体が好き。

まるで小説を読んでいるかのような美しい描写を書くシナリオ作者がいます。

描写を聞いているだけでありありとその情景が浮かんでくる、心を打ち震わせる文章を書くシナリオ作者がいます。

 

例えば、ゲーム性が好き。

シナリオ内特殊処理のゲーム性で楽しませてくれるシナリオ作者がいます。

ルールブックのルールをこう取り扱うのか!と舌を巻くような面白いゲーム性を考案してくれるシナリオ作者がいます。

 

例えば、世界観が好き。

システムの世界観をうまくシナリオ内に落とし込んで、その作者にしか出せない独自のシナリオを書き上げるシナリオ作者がいます。

シナリオ全体で空気感を作り上げ、まるでその世界の中にPLがいるように錯覚させるほどシナリオを作り込んでいるシナリオ作者がいます。

 

例えば、シナリオに対する対応の誠実さが好き。

いくら素晴らしいシナリオを書いていても、シナリオ以外の場所での対応が不誠実では信頼は得られません。

その対応が非常に誠実で、人間として尊敬できるシナリオ作者がいます。

 

例えば、公式シナリオが好き。

やはり公式は最大手です。

公式だからこそ現代の需要にマッチしつつも、よりシステムに没入できるハイクオリティな作品を作り上げることができます。

公式シナリオの世界観の作り込みに惚れ惚れすることもあるでしょう。

そんな公式シナリオを書いているシナリオ作者がいます。

 

先生のどこが好きなのか、思いつきましたか?

先ほど考えた先生の好きなところが、あなたがシナリオに求めている、必要としているものです。

 

あくまで参考程度に、自分はこういうものが「好き」なんだな、を再確認する作業でした。

 

③1〜2を繰り返す

①〜②の好きなものを考える作業を繰り返します。

好きなシナリオ作者を見つけて、先生にして、先生のどこが好きなのかを考える作業です。

 

すると先生がどんどん増えていくのではないでしょうか?

好きなシナリオ作者は1人に収まらないのではないでしょうか?

あれも好き、これも好き、それも好き!

好きは最大のエネルギー源なのでどんどんエネルギーを貯めましょう!

④一旦違う「好き」を考える

だいぶ頭を使いましたね。

ちょっとクールダウンといきましょうか。

 

TRPG以外で、あなたの好きなものはなんですか?

ちょっと考えてみましょう。

 

まだまだ頭に余裕があれば、用意した紙とペンに書き込むのもいいかもしれませんね。

スマホのメモでもいいんですが、紙とペンの方が頭が活性化しますので、余裕があればぜひアナログで書くことをおすすめします。

 

好きなものは人によって様々だと思いますので、ここでは私の好きなものを羅列していきます。

 

・ホラーが大好きです。怖い話は大好きですが、現実に干渉してくる系はちょっとずるいんじゃないの!?(ビビリ)と思ってます。

・グロテスクなものが好きです。流血表現とか特に大好きですね。

・美味しいものを食べることが大好きです。愛する人を食べるとか最高の愛情表現だよね……と思っています。

・呪文とか大好きです。邪悪なカルティスト集団とかロマンの塊で憧れちゃいます。

・理解できない上位存在なんて最高です。完膚なきまでに蹂躙されたいですし、命からがら助かる思いも好きです。

 

待って、だいぶクトゥルフ神話に寄ってしまいました。

これは偏りすぎなので、もうちょっと違う好きを考えてみます。

できるだけいろんな好きを思いついた方が後に役立ちます。

 

・ディストピアが好きです。完全に管理された完全な社会、その裏で苦しむ人々の葛藤、たまりません。

・ポストアポカリプスが好きです。荒廃した世界で1人で旅を続けるなんて素敵でしかありません。

・努力、友情、勝利が好きです。少年漫画の王道展開ってどうしてこんなに燃えるのでしょうね。

・異形の存在に変形するのが好きです。呪いによって異形に変形していくって厨二心をくすぐりますよね。

・残酷な世界が好きです。胸が締め付けられますが、同時に残酷な世界の中でそれでも気高く美しくいようとする人間の心の強さが引き立って好きです。

・可愛いものが大好きです。ポ⚫︎モンだとパ⚫︎ちゃんとパピ⚫︎ッチちゃんが大好きすぎて家が⚫︎モちゃんとパ⚫︎モッチちゃんだらけになりかけています。

・人間の美しさが大好きです。強く気高く美しい心を持つ人間のまっすぐさに惹かれます。

・友達と遊ぶのが大好きです。会話するだけで消耗してしまう疲れやすい体質なのですが、それでも人と話すことは好きです。

・歩くことが大好きです。ぼんやり歩き回ると素敵な考えがたくさん浮かんできます。

 

ざっとこんな感じでしょうか。

こんな感じで具体的でもいいですし、好きな作品名でもいいです。

もっと好きなものは出てきますが、キリがないのでこの辺で。

⑤好きパワー大爆発!!!

①〜④の作業を行うことで、自分の中に眠る「好きパワー」が相当溜まってきたんじゃないでしょうか?

 

好きが溜まったら思いのままに叫びましょう!

 

「自分の好きなシナリオがこの世にない!!」

「私も先生みたいな素敵なシナリオが書きたい!!」

「シナリオの好きと自分の別の好きを組み合わせたこんなシナリオが見たい!!」

 

おめでとうございます!

「こんなシナリオが見たい」が口から出てきましたね。

シナリオを書くための最初の一歩をたった今、踏み出せました。

 

もし「シナリオを書きたい!」が出てこなければ、もう少し好きパワーを溜めるといいかもしれません。

 

言い忘れていましたが、好きパワーはそう簡単に溜まるものではありません。

私の場合は「シナリオを書きたい!」に至るまでに数年単位でかかりました。

人によってはそれ以上かかるかもしれません。

 

焦らず、ゆっくり、好きパワーが爆発するその日まで、好きパワーを溜めまくりましょう!

 

好きパワーが大爆発した人は、いよいよシナリオ書きに手をつけていきましょう!

その3へ進んでください!